遺産の分割方法

相続人全員が法定相続分通りに分割することに異議を唱えていない場合でも,相続財産がきっちり分割できる場合だけとは限りません。

不動産や株式,動産といった,それ自体を分割することが難しい財産が含まれている場合の遺産分割の方法について説明します。

方法としては,現物分割,換価分割,代償分割,共有といった方法があります。

1.現物分割

現物分割とは,相続人間で遺産を現実に分けて分割することをいい,遺産分割の原則的方法です。例えば,土地建物を特定の相続人が一人で相続する,土地を分筆(一筆の土地をいくつかの部分に分けて別の不動産にすること)して相続分通りに各相続人が取得するといったやり方です。なお,建物を分筆することはできません。

現物分割には,後の相続人間の紛争の種を断つことができるというメリットがありますが,居住家屋のある土地は分筆できない等制限があり,特定の不動産を一人に相続させることになる等,相続人間に不平等が生じやすいというデメリットがあります。

2.換価分割

換価分割とは,遺産を売却してその代金を相続人で分配する分割方法をいいます。換価分割の場合,売却してしまうので評価の必要がなく,遺産の評価方法について相続人間で揉めるといったことがありません。

相続人間で協議によって合意することができない場合,家庭裁判所に審判の申し立てをして,換価命令を得て競売又は任意売却をすることになります(家事事件手続法第194条)

現物分割をすることが物理的に不可能,現物分割をすることによって財産の価値が減ずる等の場合,また,相続人に支払い能力がなく,後に述べる代償分割といった方法が採れない場合に,換価分割の方法が採られることになります。

換価分割は,金銭による清算という点で簡明といえますが,遺産である不動産の使用を望む相続人の意向に反することになります。

また,当該不動産が思ったより高い価格で売れない可能性もありますし,諸経費により相続人の手元に残る金額が少なくなることもあります。

なお,換価分割の場合,売却額から取得費及び仲介手数料等の経費を差し引いた額に譲渡所得税が課されます。

3.代償分割

代償分割とは,遺産を多く取得した相続人が他の相続人に対して代償金を支払って,共同相続人間の過不足を調整する分割方法をいいます。相続人間に不平等が出にくいので,現物分割ができない場合の理想的な方法といえますが,遺産として現金・預金等がなく,不動産を取得する相続人にも固有の現金・預金等がなくて代償金が払えない場合,利用することができません。

また,不動産には定価がなく,評価方法にもいくつか種類があるので,相続人間でどの評価方法を適用するかで揉めるケースもあります。

4.共有分割

共有分割とは,不動産等の遺産について,法定相続分等の割合で持分を決め,その割合で共有名義にすることをいいます。遺産分割手続上簡易な方法であり,平等に相続することができますが,共有持分者は当該不動産を自由に管理処分することができませんし,活用が難しいとして売却する際にも共有持分権者全員の合意が必要になります。

また,共有者の一人が亡くなって再度の相続が発生したときには,更にその相続人が共有持分者に加わることとなります。この繰り返しで誰が権利者かわからなくなってしまうと,その後の処分に大変な苦労をすることになります。

共有分割は,往々にして,後に問題を先送りにすることになりますので,あまりお勧めできる方法とは言えません。現物分割・代償分割・換価分割のいずれかの方法で分割することが望ましいといえます。

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