コラム

契約書チェックのいろは~契約の有効要件②

2021-11-16

 契約の内容が有効なものとして認められるためには,①確定性②実現可能性③適法性④社会的妥当性の4要件を満たしていることが必要となります。

契約内容に関する有効要件①確定性

 例えば,「甲は乙に対し,とある物を買い渡し,乙はこれを買い受ける」という条項があったとします。

 このような条項は,「とある物」が何を指したか不明であり,売買契約の対象を特定することができません。

 このような売買契約は,確定性を欠くとして無効となることがあります。

 ただし,他の文書等によって,「とある物」を確定することができるときには,有効となる余地もあります。

契約内容に関する有効要件②実現可能性

 甲が所有する美術品を乙に売るという合意が成立した当時,すでに当該美術品が滅失していた場合,最初から履行することはできなかったのですから,この売買は実現可能性がないものとして無効になります。

 ただ,契約締結時には存在していた美術品が引渡時までに焼失した場合は,契約は成立しているとしたうえで,危険負担(民法第536条)の問題として処理されます。

 ③適法性と④社会的妥当性については,次回のコラムにて説明します!

 

契約書チェックのいろは~契約の有効要件①

2021-11-01

 契約は,一方の当事者の申込みに対して,相手方が承諾することによって成立します。

 民法の大原則として,契約自由の原則,というものがあります。この原則にのっとり,当事者間の合意は,最大限優先されることになります。

 しかし,どのような合意であっても契約が有効に成立するわけではありません。契約には一定の有効要件が存在するのです。契約書を作成するためには,常にこの有効要件を欠いていないかをチェックすることになります。

契約当事者に関する有効要件

 契約を有効に成立させるためには,当事者に意思能力,行為能力が認められ,その意思に欠缺や瑕疵がないことが必要となります。

 意思能力とは,法律関係を発生させる意思を形成し,それを行為の形で外部に発表して,結果を判断,予測できる知的能力を言います。だいたい6~7歳くらいから意思能力が備わり始めると考えられています。

 行為能力とは,法律行為を単独で行うことができる法律上の資格をいいます。未成年者や被成年後見人等は行為能力が認められていないので,法定代理人の同意の取得等,有効要件を満たす配慮が必要になります。

 さらに,意思能力・行為能力共に備えている当事者であっても,その意思に欠缺(意思が欠けていること)や意思表示の瑕疵(意思表示欠陥があること)があると,契約が無効となったり取り消されたりします。具体的には,心裡留保(民法第93条)虚偽表示(民法第94条),錯誤(民法第95条),詐欺や強迫(民法第96条)等について,民法上規定されています。

 ちなみに,法律文書以外では,「意志」という漢字を使うことの方が多いと思いますが,民法上は「意思」と書くのが正しいです。

 「意思」が「そうしたい、またはしたくないという本人の思い」を指すのに対し,「意志」は「積極的ではっきりとした意向」を指します。この点,法律は明確に使い分けをしているのです。

 

 次回,契約の内容に関する有効要件について説明します。

契約書チェックのいろは~契約書ってほんとに必要?

2021-10-22

 契約書のチェックは,弁護士にとってはよくある業務の一つです。

 ところで,契約締結に当たって,契約書の作成は絶対に必要なのでしょうか。

 実は,契約とは,申込と承諾という,当事者の相対する意思表示が合致することによって成立することが原則であり(諾成契約),保証契約や定期賃貸借契約等,例外的に書面による合意が求められるもの以外は,口頭合意のみでも契約が成立することになります。

 なので,実は契約書を作成することは,契約締結の際に,絶対に必要ではありません。

 しかし,それにも関わらず,契約に際して契約書を作成する,ということは一般的に行われています。

 これは一体なぜでしょうか。

 それは,契約書を作成することで,後の紛争を回避することが期待できるからです。

 お金を貸した,いやあれはもらったものだ,というような争いは頻繁におこりますが,消費貸借契約書をきちんと作成しておけば,相手方が後に翻意したとしても,契約書を証拠として,借りたお金を返してもらうよう請求することができます。

 また,当事者の間で,契約の内容を一義的に明確にしておくことで,当事者が合意の内容を忘れてしまうといったことを防ぐこともできます。

 また,ビジネス法務上,コンプライアンスの観点も重要です。法令を順守したことについて何らかの書面を残すことがコンプライアンスの観点から要請されることが多いため,その重要な側面の一つとして契約書を作成する傾向が強くなっています。

 こういった観点から,契約成立の要件でなくても,契約書を作成することが実務上一般的に行われているのです。

 ですので,契約書のチェックの際には,上記の趣旨にかなったものになっているか,という大きな視点を持って実施することとなります。

 では,具体的にどのような点をチェックするのか,ということについては,次のコラムで解説します。

相続放棄について

2021-10-11

 家族が亡くなった後,多額の借金があることが判明した場合,相続人は必ずその債務を家族に代わって返済しなくてはいけないのでしょうか。

 民法は,相続人が相続放棄をすることを認めています。相続放棄とは,積極財産と消極財産の全ての承継を拒否することであり,相続放棄をすると,その人は初めから相続人ではなかったことになります。その結果,被相続人に多額の返済があったとしても,その返済から免れることができます。

 なお,消極財産(債務等)については承継した積極財産の限度内でした責任を負わないという,限定承認という方法もありますが,申請期間の短さや税金上の問題,財産が原則競売に出されるといった点から,実際に利用されることは少ないです。

 相続放棄をするには,相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月の熟慮期間内に決めなければいけません(民法915条1項)。選択をしないまま3カ月が経過すると単純承認したことになるので注意が必要です(民法921条2号)。

 また,相続財産の全部又は一部を処分した時には,相続の単純承認をしたものとみなされる(民法921条1号)ため,この点も注意が必要です。知らずに被相続人の財産から生前の医療費等を払ってしまい,相続放棄ができなくなるという場合があります。

 相続放棄は撤回することができません(民法919条1項)ので,その意思決定は慎重にする必要があります。相続放棄をすべきか,悩まれた際には,ぜひ弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

 なお,お墓等については相続財産とみなされず,祭祀承継者に選任された人が承継します(民法897条1項)。日本の慣習上,お墓等が法定相続分に従って分割して相続されるのはなじまないとの趣旨です。相続放棄をしたとしても,祭祀承継者に選任される可能性はありますので,この点も要注意です。

UNSEENな毎日~縁の下の力持ち

2021-09-14

 UNSEENの事務職員のMさんは,我々の毎日の業務にあたり欠かせない存在です。まさに縁の下の力持ちとして,我々弁護士を支えてくれています。

 Mさんには素晴らしいところが本当に数えきれないほどたくさんあるのですが,まず挙げるとすれば,細やかな気配りが行き届いているところです。こちらがお願いする前に先回りして準備を進めてくれますし,一お願いすれば十理解して適切なサポートをしていただけるので,大変助かっています。

 また,いつも明るく朗らかで,機嫌の悪いところなど見たことがないので,そんなMさんが事務所にいつもいてくれることにとても安心感があります。私など,事務所に行ってMさんがいないと,「おうちに帰ってお母さんがいないことに気が付いた小学生」のような気持になっています(笑)。

 そして,私がMさんのここが本当に素晴らしいなと思う点は,我々弁護士と同じ目線で,クライアントのために動く,という視点と意識を持っているところです。一つ一つの仕事を,弁護士に指示されたからやる,というスタンスではなく,クライアントのために何をするべきか,ということを第一に考えて取り組んでくれるのです。こういう意識を持っている人といない人では,電話の受け答え一つとっても全く異なってくると思います。「クライアントのためにベストを尽くす」ということを同じように大事にしてくれている彼女のことを,本当に得難いチームのメンバーと感じており,感謝が尽きません。

 このように,弊所では,弁護士以外のスタッフも含めた全メンバーで,クライアントのために尽力しています。何かありましたら,お気軽にご相談くださいませ。

(文責 稻川)

遺留分割協議における特別受益の主張について

2021-08-23

 相続人の中に,被相続人から遺贈や多額の生前贈与を受けた人がいる場合,その受けた利益のことを「特別受益」といいます。利益を受けた相続人は,相続分の前渡しを受けたものとして,遺産分割において,その特別受益分を遺産に持ち戻して(これを「特別受益の持戻し」といいます。)具体的な相続分を算定することになります(民法903条1項)。

 ポイントとして,特別受益は,あくまで遺産の前渡しによる不公平を是正する制度であって,親から受けた経済的恩恵の不平等を是正する制度ではないということです。

 ですので,特別受益を主張するには,それが「遺産の前渡し」として交付された経済的恩恵であるということを証明する必要があります。

 兄弟の内一人だけ大学に進学させてもらっているとか,婚姻の際に多額の挙式の費用を負担してもらっているという事情は,原則として特別受益にはあたりません(例外はあり得ます)。

 2019年7月1日施行の民法改正により、遺留分算定時の特別受益に該当する贈与の範囲が変更されました。原則として被相続人が亡くなる前「10年以内」の贈与に限り特別受益に該当し得るものとなり,これまで期間の制限なく特別受益に該当しえたところ,限りがあることになりました(民法1044条第項)。ただし,これは遺留分についてのみの改正であり,具体的相続分の算定のための持ち戻しについては,これまでどおり何十年前の贈与であっても持ち戻しの対象となります。

 また,特別受益については,被相続人により持ち戻し免除の意思表示をすることが認められています。2019年7月1日施行の民法改正においては,この持ち戻し免除の意思表示の推定規定が設けられました。すなわち,婚姻期間が20年以上の夫婦の一方が,他方に対して居住用の不動産を遺贈または贈与したときは,特別受益の持ち戻し免除の意思表示があったものと推定されることになりました(民法903条1項)。結婚20年以上の夫婦間による自宅の遺贈または贈与については,原則として特別受益に該当しないこととされたのです。これは,被相続人が配偶者に居住用の不動産を遺贈したことを特別受益とすると,配偶者は自宅以外の預貯金等の相続財産について取得分が減少してしまうことになり,配偶者の生活が脅かされることになりかねないため,残された配偶者の生活を守ることを趣旨として上記改正がなされました。

 もし相続の際に,これは特別受益にあたるのでは?と疑問に思われたときには,ぜひ弁護士にご相談いただければと思います。

 

遺産分割協議における寄与分の主張について

2021-07-28

 遺産分割の際によく出てくる主張として,「自分は亡くなった家族のために,たくさんの貢献をしたから,遺産はその分他の相続人より多くもらいたい」というものがあります。

 例えば,親の相続に際して,自分の生活も犠牲にして必死に親の介護をした自分と,何もせず放置していた他の兄弟とで相続分が同じなのはおかしい!という言い分は,心情的には最もだと思います。

 この点,民法では,相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をしていた場合,被相続人の財産価格から,共同相続人の協議で定めた分を控除して相続財産を分配し,その控除した分を特別の寄与をしていた人に上乗せすることが認められています(民法904条の2第1項)。これを「寄与分」といいます。

 寄与分が認められるためには,①被相続人の事業に関する労務の提供または財産上の給付,②被相続人の療養看護,③その他の方法により,被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をしたことが必要です。

 注意しなければいけないのは,ただ親の自営業のお手伝いをしていた,親の看護を一生懸命頑張った,というだけでは寄与分にならず,あくまで,「相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした」場合であることが必要で,財産上の効果のない寄与は含まれないということです。例えば,看護に関して言えば,本来なら看護のために被相続人が自分の財布から費用を払わなければならなかったところ,相続人の看護のおかげでその費用の支出を免れた,といった事情がある場合には,その免れた支出の分が寄与分として認められる可能性があります。

 なお,子が親を監護する場合,子には親に対して直系血族間の扶養義務(民法877条1項)があることから,単に親の世話をしていたというだけでは特別の寄与とみとめられず,加えて何らかの事情が必要となります。例えば,被相続人に居住している家屋と宅地以外にめぼしい財産がない状態で,相続人の一人が生活費を負担し,それによって家屋等を売却する必要がなくなったという事情があった場合,寄与分が認められた裁判例があります(大阪家審昭61・1・30家庭裁判月報38巻6号28頁)。

 このように,生前の被相続人に対する相続人の経済的な貢献に報い,相続人間の公平を図る制度として,寄与分の主張が認められているのです。

 ただし,この寄与分はあくまで相続人間の公平のための制度なので,寄与分を主張できるのは相続人に限られている,という問題点がありました。

 かつては,親の介護は子本人ではなく,その配偶者(多くの場合女性)が担うことが多かったところ,子の配偶者は相続人ではないため,相続に際しては,どれだけ献身的に介護を実施したところで,何ら考慮されることがなく,長年,この点は不公平ではないかと議論されてきました。

 そこで,2018年7月の民法改正の際,2019年7月1日以後開始の相続については,相続人ではない者で被相続人の財産の維持増加に貢献した者に対して,貢献に応じた金銭(特別寄与料)の支払を相続人に対して請求できるという,特別の寄与の制度が新設されました(民法1050条)。

 特別寄与料の請求権者は,被相続人の6親等内の血族と3親等内の姻族であって,かつ相続人ではない者です。相続人の配偶者のみならず,被相続人の従兄弟等も含まれます。特別寄与者は,遺産分割に参加することはできませんが,別途,相続人に対して特別寄与料を請求することができます。特別寄与料の支払いについては,当事者が協議によって決定し,協議が調わない場合には,特別寄与者の請求に基づいて家庭裁判所が審判によって支払いの許否及び額を定めることができる,とされています(民法1050条第2号乃至第4号)。ただし,請求できる期間が短く,相続の開始及び相続人を知った時から6か月を経過した時,または相続開始の時から1年を経過したときは家庭裁判所に請求することができないので,注意が必要です(民法1050条第2項ただし書)。

 相続の際,自分の被相続人に対する貢献や献身が顧みられていない,とお辛い思いでいらっしゃる方,ひょっとしたら,寄与分や特別の寄与が認められるかもしれません。気になることがありましたら,ぜひ法律事務所UNSEENの弁護士にご相談ください。

(文責 稻川)

亡くなられた後で

2021-06-21

 弁護士として10年以上稼働していると、相続に関するご相談を多く経験します。残念ながら、ご相談をいただいた多くの場合で、相続人の間で争いとなり、ときには遺産分割の調停や審判などの裁判上の手続を行う場合にまで問題が深刻化してしまうこともあります。

 相続で争いが生じるというは、亡くなられた方からすれば、自分の子供や配偶者や兄弟が互いに争ってしまうという事を意味しており、決して望ましい事態ではありません。現在では、そのような争いを少しでも避けるために、遺言書を作成する場合も増えています。しかしながら、遺言書があっても、法律の規定に対する配慮や税務的な処理が不十分な場合は、遺留分減殺請求などの争いが発生してしまうことがあります(実際に私も遺留分減殺についての訴訟を何度も経験しています)。

 相続に関するご相談を受けてきて思うのは、遺産分割にしても、遺言書の作成にしても、遺留分に関する争いにしても、予め弁護士と税理士にきっちりと相談をしておけば、争いを未然に防ぐことができる場合が多いという事です。

 亡くなった後の預貯金はどうなるのか、亡くなられた方の生命保険は遺産分割の対象となるのか、不動産はどうやって評価されるのか、遺留分はどれくらいになるのか等々、様々な問題が相続という名前のもとに発生してきます。これらについて、専門家の助言を得て、ある程度見通しをもって、予めできる範囲で対応をしておくことが、後々の紛争を未然に防いだり、不幸にして紛争となってしまった場合でも、深刻な争いとなることを防いだりすることができます。

 多くの方にとって、相続というのは、一生のうちに何度も発生するような問題ではありません。しかしながら、弁護士にとって、相続に関する問題というのは、職務の一つとして当然に含まれています。そのため、多くの事例を経験し、修練を積んでいます。それこそが、専門家の専門家たるゆえんであるとも言えます。しかしながら、我々弁護士は、ご相談を受けなければ、その修練を発揮することができません。その点が歯がゆい部分であると感じています。

 何を聞いてよいのかわからないとおっしゃる方もいらっしゃいます。しかし、何を聞いたらよいのかわかるように説明をするのも弁護士の役割であると思っています。相続に限らず、何か問題が起こりそうだと感じたときに、気軽に相談をしてもらえる弁護士でありたいと常に思っています。

 クライアントの不安を少しでも解消して、安心してかえってもらうのが、弁護士の仕事の一丁目一番地だと思います。

 (H.S)

  

UNSEENな毎日~事務所のメンバーシップについて

2021-05-31

 弊所は、依頼者の皆様の幸せを第一に考えているのと同時に、弁護士及びスタッフ全員がお互いを尊重しあい、助け合うことも大事にしております。

 その一環として、定期的に実施する事務所会議で、それぞれ困っていることをシェアしあったり、現状の報告をしあったりして、それぞれがお互いのことをケアし、承認しあえる環境づくりも心がけています。

 メンバーの誕生日も、欠かさずお祝いしています!今月は筆者の誕生日があったのですが、素敵なケーキでお祝いしてもらえました(^^)/

 事務所メンバー間の繋がりを大事にしているのは、単純にメンバー間の風通しがいい方が働きやすい、という理由ももちろんありますが、何より、繋がりを深めることで、メンバーそれぞれの幸福度が増し、その結果、業務効率がアップして、依頼者の皆様に対して更に質が高い法的サービスを提供できることにつながると感じているからです。

 今日も、依頼者の皆様のため、メンバー間でケアしあいながら、よりよいサービスのために尽力してまいります。

 ところで、このプレート、秘書さんが手配してくれたのですが、「しーちゃん先生」ってなんかいいですよね。これからはこれを名乗っていこうかな(笑) (文責 稻川)

keyboard_arrow_up

0364472073電話番号リンク 問い合わせバナー