安全配慮義務について

使用者たる会社は,従業員に対し,その生命・身体・健康を危険から保護するよう配慮すべき安全配慮義務を負います(労働契約法第5条)。

会社には,労働者が職場において安全に労務を提供できる環境を整備する義務があり,これは労働災害の発生を防止し,従業員を保護するために会社に課せられた最低限度の義務だといえます。会社が安全配慮義務を怠ったことで従業員に損害が生じた場合,損害賠償が発生することがあります。

安全配慮義務違反とは

安全配慮義務違反となるのは,会社が危険な事態や被害の可能性を事前に予見できたかどうか(予感可能性),予見できた損害を回避できたかどうか(結果回避可能性)という点から判断されます。

「生命・身体・健康を危険から保護する」という言葉から,労働現場での危険作業を防止することや有害物質から身体を守ること等をイメージされるかもしれませんが,実際には,安全配慮義務の対象はメンタルの安全や健康も含まれるとされています。

安全配慮義務違反が問題となった具体例

安全配慮義務が問題となった事例として,

労働者が勤務中に自動車の運転を誤って同業者を死亡させた事件で,会社に安全配慮義務として,車両の整備を十分に行う義務や,十分な運転技術を持つ者を自動車の運転手として指名する義務があるとしたもの(最高裁昭和58年12月6日)

や,

会社が,従業員の過労による自殺について,業務の進行に伴い疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負う(最高裁平成12年3月24日)

としたものがあります。

会社には,危険や健康障害の防止措置を設けることや,安全衛生教育の実施が求められています。逆に,労働災害が発生したとしても,会社が従業員の安全教育が十分に実施されていた場合には,安全配慮義務違反はないとされることもあります。

ブラジル人の派遣作業員が旋盤機械の中に誤ったボタン操作を行い,右手薬指を切断するという大怪我を負った事件で,会社が母国語のテキストを用意して安全教育を実施しており,テストを実施して合格しない者は受け入れない体制をとっていたこと等から,会社側が安全教育を徹底していたことが認められ,安全配慮義務が認定されなかったという例があります(名古屋高裁平成27年11月13日)。

会社に負わされる責任

会社は,危険な作業方法を伴う仕事については,従業員が危険な状態に陥らないよう措置を講じ,従業員の負担を軽減させなければなりません。

また,専門医によるカウンセリングを定期的に実施して,問題が発覚した場合にはその都度適切な措置を講じる等,従業員のメンタルにも配慮しなければなりません。労働者の安全や健康を守るために必要なことは何か,常に考えておく必要があるのです。

安全配慮義務違反に関しては弁護士にご相談を

会社として必要な配慮を怠り,仮に訴訟を提起されて安全配慮義務違反が認められるようなことがあれば,多額の損害賠償に応じなければならない可能性があります。

慰謝料や後遺障害慰謝料は労災保険での保障の対象となっていないので,認定されるようなケースでは,数千万円ないし1億円を超えるような金額に上るリスクがあります。

また長期にわたる裁判にかかるコスト,風評被害による売上減や士気低下といったリスクもあります。

安全配慮義務違反の訴訟を起こされないためにも,会社がどのような措置を講じる必要があるのか,予見可能性と結果回避可能性の観点から,弁護士から適切なアドバイスを受けることをおすすめいたします。

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