遺留分割協議における特別受益の主張について

 相続人の中に,被相続人から遺贈や多額の生前贈与を受けた人がいる場合,その受けた利益のことを「特別受益」といいます。利益を受けた相続人は,相続分の前渡しを受けたものとして,遺産分割において,その特別受益分を遺産に持ち戻して(これを「特別受益の持戻し」といいます。)具体的な相続分を算定することになります(民法903条1項)。

 ポイントとして,特別受益は,あくまで遺産の前渡しによる不公平を是正する制度であって,親から受けた経済的恩恵の不平等を是正する制度ではないということです。

 ですので,特別受益を主張するには,それが「遺産の前渡し」として交付された経済的恩恵であるということを証明する必要があります。

 兄弟の内一人だけ大学に進学させてもらっているとか,婚姻の際に多額の挙式の費用を負担してもらっているという事情は,原則として特別受益にはあたりません(例外はあり得ます)。

 2019年7月1日施行の民法改正により、遺留分算定時の特別受益に該当する贈与の範囲が変更されました。原則として被相続人が亡くなる前「10年以内」の贈与に限り特別受益に該当し得るものとなり,これまで期間の制限なく特別受益に該当しえたところ,限りがあることになりました(民法1044条第項)。ただし,これは遺留分についてのみの改正であり,具体的相続分の算定のための持ち戻しについては,これまでどおり何十年前の贈与であっても持ち戻しの対象となります。

 また,特別受益については,被相続人により持ち戻し免除の意思表示をすることが認められています。2019年7月1日施行の民法改正においては,この持ち戻し免除の意思表示の推定規定が設けられました。すなわち,婚姻期間が20年以上の夫婦の一方が,他方に対して居住用の不動産を遺贈または贈与したときは,特別受益の持ち戻し免除の意思表示があったものと推定されることになりました(民法903条1項)。結婚20年以上の夫婦間による自宅の遺贈または贈与については,原則として特別受益に該当しないこととされたのです。これは,被相続人が配偶者に居住用の不動産を遺贈したことを特別受益とすると,配偶者は自宅以外の預貯金等の相続財産について取得分が減少してしまうことになり,配偶者の生活が脅かされることになりかねないため,残された配偶者の生活を守ることを趣旨として上記改正がなされました。

 もし相続の際に,これは特別受益にあたるのでは?と疑問に思われたときには,ぜひ弁護士にご相談いただければと思います。

 

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