遺産分割協議における寄与分の主張について

 遺産分割の際によく出てくる主張として,「自分は亡くなった家族のために,たくさんの貢献をしたから,遺産はその分他の相続人より多くもらいたい」というものがあります。

 例えば,親の相続に際して,自分の生活も犠牲にして必死に親の介護をした自分と,何もせず放置していた他の兄弟とで相続分が同じなのはおかしい!という言い分は,心情的には最もだと思います。

 この点,民法では,相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をしていた場合,被相続人の財産価格から,共同相続人の協議で定めた分を控除して相続財産を分配し,その控除した分を特別の寄与をしていた人に上乗せすることが認められています(民法904条の2第1項)。これを「寄与分」といいます。

 寄与分が認められるためには,①被相続人の事業に関する労務の提供または財産上の給付,②被相続人の療養看護,③その他の方法により,被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をしたことが必要です。

 注意しなければいけないのは,ただ親の自営業のお手伝いをしていた,親の看護を一生懸命頑張った,というだけでは寄与分にならず,あくまで,「相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした」場合であることが必要で,財産上の効果のない寄与は含まれないということです。例えば,看護に関して言えば,本来なら看護のために被相続人が自分の財布から費用を払わなければならなかったところ,相続人の看護のおかげでその費用の支出を免れた,といった事情がある場合には,その免れた支出の分が寄与分として認められる可能性があります。

 なお,子が親を監護する場合,子には親に対して直系血族間の扶養義務(民法877条1項)があることから,単に親の世話をしていたというだけでは特別の寄与とみとめられず,加えて何らかの事情が必要となります。例えば,被相続人に居住している家屋と宅地以外にめぼしい財産がない状態で,相続人の一人が生活費を負担し,それによって家屋等を売却する必要がなくなったという事情があった場合,寄与分が認められた裁判例があります(大阪家審昭61・1・30家庭裁判月報38巻6号28頁)。

 このように,生前の被相続人に対する相続人の経済的な貢献に報い,相続人間の公平を図る制度として,寄与分の主張が認められているのです。

 ただし,この寄与分はあくまで相続人間の公平のための制度なので,寄与分を主張できるのは相続人に限られている,という問題点がありました。

 かつては,親の介護は子本人ではなく,その配偶者(多くの場合女性)が担うことが多かったところ,子の配偶者は相続人ではないため,相続に際しては,どれだけ献身的に介護を実施したところで,何ら考慮されることがなく,長年,この点は不公平ではないかと議論されてきました。

 そこで,2018年7月の民法改正の際,2019年7月1日以後開始の相続については,相続人ではない者で被相続人の財産の維持増加に貢献した者に対して,貢献に応じた金銭(特別寄与料)の支払を相続人に対して請求できるという,特別の寄与の制度が新設されました(民法1050条)。

 特別寄与料の請求権者は,被相続人の6親等内の血族と3親等内の姻族であって,かつ相続人ではない者です。相続人の配偶者のみならず,被相続人の従兄弟等も含まれます。特別寄与者は,遺産分割に参加することはできませんが,別途,相続人に対して特別寄与料を請求することができます。特別寄与料の支払いについては,当事者が協議によって決定し,協議が調わない場合には,特別寄与者の請求に基づいて家庭裁判所が審判によって支払いの許否及び額を定めることができる,とされています(民法1050条第2号乃至第4号)。ただし,請求できる期間が短く,相続の開始及び相続人を知った時から6か月を経過した時,または相続開始の時から1年を経過したときは家庭裁判所に請求することができないので,注意が必要です(民法1050条第2項ただし書)。

 相続の際,自分の被相続人に対する貢献や献身が顧みられていない,とお辛い思いでいらっしゃる方,ひょっとしたら,寄与分や特別の寄与が認められるかもしれません。気になることがありましたら,ぜひ法律事務所UNSEENの弁護士にご相談ください。

(文責 稻川)

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